by 匿名A
すがすがしい朝のさわやかな光の中、
ゆっくりと伸びをして起き上がる。
こんな一日の始まりには熱いコーヒーが似合うだろう。
もうすぐ四月とはいえ朝はまだ冷える。
純白の陶器の容器に淡い琥珀色の液を注げば、
湯気が上がり、水面で弾み玉のようになって転がり四散する。
ふと、いつにない香りがかすかに鼻腔をくすぐる。
ん、・・・これは・・・カレー? まさか・・・。
いつもの、だらしなくブラ下がったような注ぎ口と
白い容器を交互に眺め、
昨日の夕食がカレーだったことを思い出した。
「まさか昨日の夕食のカレーの匂いが?」
初めての経験に驚きながら、意味もなく笑みが漏れた。
「さあ、美味いコーヒーでもいれるか!」
銀色に光るレバーを引いてトイレを出た。