医療現場で保険による医療受給と自費による医療受給の併用ができない「混合診療不許可」が問題になって久しい。
保険の適用になっていない治療を受けると、通常なら保険適用になるその他の医療費も全て保険適用から外されて高額の医療費負担が発生するのである。
問題はどこにあるのだろう。
現在は混合診療は不許可で全て保険適用外として自己負担にしている。
もし保険外の診療も全て保険適用にするとどうなるか?
保険負担金が増えて医療保険制度を維持できない。この場合は保険金の増額が必要になる。皆が納得すれば可能な方法である。
ただ不要な治療まで保険適用になって「乱診乱療」になる恐れがあるので監視が必要である。
混合診療を認めるとどうなるのだろう。
「保険適用外の高額の医療費を支払える人と支払えない人のあいだに格差ができる」
それはそうだろう。
「だからダメだ」というのであるがこの主張は妥当なのか?
これは明らかに筋が違う。思考が混乱している。
「人類みな平等」とばかり、なけなしの金を払い高額の自己負担をしてまで新しい治療を受けようとする人に、
「その他の医療費全部保険適用外になってとても払えない金額にしますよ」
といって、新しい治療を受けさせないようにしているに過ぎない。中途半端な金持ちでは金のない人と同じ治療を受けるように強制的に制限されるだけ。
だが「高くなりますよ」と言われて「ああいいよ」という本当の金持ちは最新治療を受けられるではないか!
格差の解消などに何の役にも立っていない。だから彼らの言い分は嘘である。
実はこのような言い訳には別の理由があるのだ。
保険適用にならない新しい治療には設備も技術も必要なのだ。
できる病院とできない病院がはっきり分かれるのだ。医療機関のあいだにはっきりとした目に見える格差ができるのだ。
医者のあいだに格差ができ、貧富の差ができるのを防いでいるに過ぎない。
これが混合診療を認めない理由の大きな方の一つなのである。そしてもう一つが医療保険料の不足である。
人間をみな平等に扱おうとする人権派の皆さんの方針は、ぎりぎり新しい診療を受けられる可能性のある人の人権を奪う悪平等である。
混合診療は認めればいいのである。
その上で、所得に応じて自己負担の医療費の額に差を設ける。払える人には余分に払ってもらい払えない人の支払額は低くする。
それにしてももともと診療報酬が高すぎるのではないのか?
いずれ、より多くの医療が保険適用になるように努力はするべきですが、それまでも混合診療は認めなければならない。
どうしても払えない人は保険診療だけ受けることに甘んじなければならない。
お医者さんに格差があっても仕方がない。それに医者の評価は最新の治療だけではないはず。
もともと人間は不平等である。それと引換に自由を手にしているようなものなのだ。
だからこそ、筋違いの言い訳で不当で理不尽な格差や差別を広げてはならない。