《BY 浜っ子》
ある日曜日の昼下がり、事務所の自動ドアが開いた。「誰か来たのかな?」と思いながら待っていたが誰も入って来る気配は無い。
やがて扉が閉まった。外は道路である。不思議に思って外に出てみたが誰もいない。
「猫が通った時に開くことがある」と事務員がいうので「なるほど猫か」さもありなんと思いながら仕事を続けていると又自動ドアが開く。そして閉まる。
1分間隔位で開いてすぐ閉まる。そんなことを3~4回繰り返すので、外を見回ったが猫一匹いない。
まるで怪談のようで落ち着かない。
我々が通る時には正常に作動するのだが、「故障かな?」と思いながら室内から自動ドアを眺めていたら、再び目の前でドアが開いた。
前面ガラスだから猫も何も前を通っていないのは明らかである。
不思議なことに今回はドアが閉まらない。開きっぱなし。
すると事務員が「風が吹くとドアが開くことがある」という。
「そんな馬鹿な!この重い横引きのドアが風なんかで開くわけが無いじゃないか!」
そう言って、開きっぱなしの自動ドアを眺めていたら妙なものが目に留まった
「ン?あれはなんだ?」
ドアの外、枠の下10cmくらいの空中に小さなゴミのようなものが浮いている。
外は少し風が吹いているのかそのゴミのようなものが小刻みに揺れている。
近づき目を凝らすと、1cmあるかないかの 「小さな小さなミノ虫」 が糸にぶら下がって揺れているのだった。
自動ドアを開閉させていたのはこのミノ虫でした。
目にも留まらないくらい小さいけど、センサーに近い分、風に揺られた時に反応していたようです。
正体が判れば何のことはない。ミノ虫を取って花壇に放り投げてドアは正常に。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
でもね、 「風が吹くと開くことがある」 なんて訳のわからない説明で納得しているこの事務所員達の方が私には恐ろしいです。
(しまった!写真を撮っておくんだった。ミノ虫さんもう一度来てくれ!)