伊方原発と「死」

BY 浜っ子

高知に住んでいる友人が「伊方原発の再稼働反対デモ」に参加するという。彼は共産党員である。どうやらバスを仕立ててあちこちから人をかき集めるらしい。

安全かどうか?この議論はいつも「絶対に安全か?」という問いかけになる。この問いかけに国も電力会社も「絶対に安全である」という回答で対応してきたがそれは間違い。実は誰もがこのような問題で「絶対はあり得ない」と知っている。

原発に、空から飛行機が落ちてきたらどうなる?テロリストが攻撃したらどうなる?いや隕石が落ちてくるかもしれない。可能性だけ数え上げれば切りはない。

答える方も間違っているが問いかける方も間違っている。「絶対安全」を要求する議論はそもそも不毛な議論だと思う。
反対派の人達も判っている。だから彼らの主張は「原発完全廃止」という主張にしか行きつくしかない。絶対を求めるからそうなる当然の帰結。
そしてそれが「絶対」に正しいと信じている。

しかしそうまでして求める「絶対の安全」は原発の問題は別にしても、要求することができるのでしょうか?

彼らの求める『安全』は、抗議者の言葉でよく使われる「命を守る」ということなのでしょう。
とすると「死なない」ことが彼らの要求ということになる。彼らにとって『死』は悪でしかないのでしょう?『死』は人間にとって大きな問題だろうけれど人は皆いずれ死ぬ。『死』が悪だとしたら死にゆく存在の人間は常に「敗北者」でしかなくなる。

原発即時廃止論者のような考えは、人間の尊厳を著しく損なう。
唯物論を背景とする共産主義はすでに破たんしているにもかかわらず、無意識に『人の命』を『人の尊厳』よりも優先する風潮が蔓延する世界に我々はいる。
『人の命』に最高の価値をみようとする共産主義(国家)が、それを絶対視するがゆえに大量虐殺を繰り返してきた事実をどう考えればいいのだろう。

今すぐ原発が廃止されれば原発事故の不安は無くなる。原発事故による『死』からは免れる。しかし電気料金の値上がり、地球温暖化、化石燃料採掘による環境破壊、企業破壊と雇用喪失、インフラの不安定化、財政の悪化と社会保障の削減、これらによって引き起こされる日本社会の不安定化。
彼らの求める安全は帰って安全を広範囲に脅かすことになるのではないでしょうか。
これらの問題に対処する時間的余裕が必要なのではないでしょうか?

一旦原発に事故が起これば大変なことになるのは昨年の福島原発事故でよく判りました。伊方町のように瀬戸内海という狭い海域に望む原発で事故が起これば、放射能汚染で壊滅的な打撃を受ける可能性もわかります。

絶対に事故は起こしてはならない。今回の災害を教訓に地震・津波に対し可能な限りの対策をする。
これが我々が今とるべき道だと思います。

余談ですが、福島の事故後、放射能汚染を調べるため全国の干しシイタケの汚染を調べたところ、北九州産が最も汚染がひどかったという調査結果があります。もし放射能汚染を危惧するなら日本国内の原発だけをなくしても解決する問題ではないようです。

 

コメント

コメント(1)

  1. 陽気な未亡人

    昔「マルクス・レーニン主義」を読んだ事がありました。

    人民全員が平等で理想的なユートピアのような内容であったと記憶していますが、当時の共産主義の国全部が不平等で王様とその家臣と奴隷のような国ばかりでした。

    多分、浜っ子様のご友人が共産主義の国で生まれていたら半共産主義者かレジスタンスかゲリラになって、民主主義・自由主義の旗を立てて頑張っておられるような気がします。

    「民主主義社会の中の共産党員」好きなことを行ってストレスの発散になるかも知れませんネ。

    共産党員でも幹部か議員さんにならないと、私の目には上部に利用されているようにしか見えません。

    返信

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