乳母車

by WEBラジオ

三好達治の詩:「乳母車」

母よ あわくかなしきもののふるなり
紫陽花(あじさい)色のもののふるなり
はてしなき並木の道を そうそうと風のふくなり

時はたそがれ 母よ私の乳母車をおせ
泣きぬれる夕日に向かって
凛々(りんりん)と私の乳母車をおせ

つめたき額に 赤い房ある天鵞絨(ビロード)の帽子をかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも 季節は空を渡るなり

あわくかなしきもののふる
紫陽花(あじさい)色のもののふる道
母よ 私は知っている
この道は遠く 遠く はてしない道

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好きな詩なんですが、最近やっと気が付きました。
てっきり母を謳ったものだと思いこんでたんですが、母親の姿が全く見えないことに。

徹底的に自分目線。子供視点。
母親は並木や風や鳥や空のように風景の中に消えてしまってます。
まるで、どんな風に無視しても、駄々をこねても、
母親は自分を守ってくれると頭から信じ込んでいるかのように。

・・・・・・・・ああなんだ・・・やはり母親を謳っているのか・・・・

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