1999 アメリカンロッキー4

国立公園 翌日はロッキーマウンテン国立公園の散策であ る。広大な国立公園の中をニーノの運転で走り回る。実に自然がよく保たれている。シーズンオフなのか、他の観光客ともあまり出会わない。 ニーノがあまりすっ飛ばすものだから、教育係の”大きなマーちゃん”はどうしても黙っていられないらしく、 「ほら、もっとスピード落として」「パトカーに捕まったら大変よ」 日航職員だから、地上勤務とはいえ英語も喋れる、海外旅行の経験も豊富、それに新人の指導係。 完全に「上から目線」の言葉遣いがついつい出てしまう。 ニーノだって長年ツアーコンダクターをしてきたプロである。それに元々”御大”以外の先生なんか屁とも思わぬ、学業優秀な悪ガキであった。だから教師面されるのは、なにかと気に食わない。 だがこの日の小競り合いはニーノに運がなかった。 大きなマーちゃんの忠告後、ものの見事に現地のパトカーに捕まった。 後ろから追ってきたパトカーにいわれて路肩に車を止める。警官が歩いて来るのが見える。 ここでまた、「挙動不審だったら撃たれるわよ」”大きなマーちゃん”の指導が入る。 人から命令されるのが大嫌いなニーノ。聞く耳なんか持たない。なにせこの旅行中何度もスピード違反で捕まり、片言英語の「サー、サー」で煙に巻いて来た歴戦の猛者だ。 しかし女性は変わるね!”大きなマーちゃん”も高校時代と比べると別人のよう。大先輩のニーノに「なんて言うことを聞かない人だろう」とかなんとかブツブツ言っている。 ポリスマンは遥か日本からの観光客と知って許してくれたようだ。さすが場数を踏んでいるニーノ。おかげで事なきを得たのはいいが、解放されて走り出した車の中で、女性陣が 「あのお巡りさんカッコよかったー」「ハンサムだったねー」の大合唱。 アー、これはこれでニーノに劣らず大したものか。 公園内の観光スポットではリスが足元をチョロチョロしている。こんなに近くで見れるのはすごいと思うのだが、ある意味不自然でもある。 小鳥もこんな近くで撮影しても逃げない。完全に人間を人畜無害(?)の無能な動物扱い。 相手がリスや小鳥なら可愛いのだが、この状況で相手がサルなら、日本でもおなじみの傍若無人のサル天国が出現するはず。 その時アメリカ人がどうするか見てみたい気がする。 (いや、サルだけは一方的に駆除してしまうかもしれない。多分そうするだろう。) アメリカにサルはいないのか?と思って調べてみたら、北アメリカとヨーロッパにはサルが居ないそうだ。(なぜだろう。ひょっとしてもうすでに駆除しつくしたのか? もしサルがいたら、こんなのどかな風景はありそうにない。) もし、北米とヨーロッパにクジラより見た目はるかに人間に近いサルがいたら、人間との共存がどれほど難しいかを理解し、現在ほどの偏執狂的な反捕鯨運動は起こらなかったのじゃないかと思ってしまう。 ≪この旅行記を共にしていたO先輩が一昨日(1月30日)急逝された。 まだ65歳の早すぎる死。もう二度とあの人の良い笑顔が見れなくなったとは実にさびしい。御冥福を祈ります。いつか又あの世でみんなそろって昔話でもしましょう≫

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