全原発が停止する日

by 還暦爺

来年4月で日本の原子力発電所がすべて停止する。
あのパフォーマー菅総理が、「私が決定しました」と浜岡原発の運転停止を求めた時、この状況は予想できたものです。
福島原発は当初津波によって致命的損傷を受けたといわれており、「東海地震の震源地と予測される浜岡原発は特に津波被害を受ける可能性が高い立地条件にある」というのがその理由です。ですが原発は津波以前に地震そのもので損傷を受けた可能性が大きいといわれています。地震国日本の原発はどこも同じ危険性があったのです。

ルールも明確な根拠も無く「(浜岡)原発は危ない。だから止める」という一国の首相の発言は、まるで社会の一面だけ切り取って自己主張をする、よくいる偏狭な”市民”活動家の姿そのものです。原発事故にパニックになって部下や電力会社を攻め立て怒鳴り散らした失態を覆い隠そうとするパフォーマンス以外の何ものでもありません。

たしかに原発事故は制御困難かつ事故処理に膨大な時間を要する過酷で恐ろしいものだという事が判りました。しかしその一方で、今回の事故は人災の側面が大きいことも判ってきました。人災の最大のものは「想定外の事態は起こり得ない」という原発推進側の無責任で傲慢な欺瞞です。彼らの責任は大変大きいでしょう。

原発を危険で制御不可能な技術と決め諦めるか、更なる技術で安全な制御を目指すか。人類に前者の選択はありません。ただ安全上の目的の為実用化を遅らせることはあります。一時的に停止することもあります。菅総理の発言は曖昧で不安をあおるだけの無責任な発言でした。いわば責任逃れです。

各自治体も戸惑い、明確なルールの無い原発稼動条件の下、次々と原発が停止し再稼動の道の無いまま来年4月に全原発が停止します。

火力発電の生み出す温暖化ガスの問題、燃料となる油やガスの輸入の問題。再生可能エネルギーを利用した電力供給の不安定と電気料金の高騰、そこから生じる産業の停滞、電力不足による深刻な生活不安。
政府は少なくともこれらの事を考慮に入れながらエネルギー政策の方向性を決めるべきだったのです。

「かかるとき かかる首相をいただきて かかる目にあう 日本の不幸」(俳人 長谷川 櫂)
身につまされる句ですが、さて野田総理はエネルギー政策についてはどのような方向性を打ち出すのでしょう?

 

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