後日談(最終回) by ハッチョ
”ひなんクラブ”面々は、アンカレッジでミネソタ在住のカズちゃんと別れ、クタクタの身体を引きずりながら日本の家族の元へと帰国の途に就いた。(あれ?この光景はデジャブ・・。そうだ昔々高校生の頃、登山の後の帰り道だ。「ああ、しんどい。もう二度と山には登らないぞ」と思いつつ、家に帰りつくと不思議と次の山行が楽しみになる。あの時に似ている。)
「家族は心配しとるやろうな」とつぶやくと、ニーノが
「心配なんかしとらへんわ。男は皆いつまでも嫁さんに愛されとると思うとるがそれは勘違いや」
これは多分ニーノの方が正しい。妻は意外とあっけらかんとしていた。愛されていないのか?
旅行社に問い合わせたある家族には「無事ホワイトハウスを出発しました」と連絡があり、目を白黒させたそうだ。確かにニューヨークへ連れて行かれそうになったし「ホワイトハウス」と「ホワイトホース」似てはいる。多分家族の方が聞き違えたのでしょう、”ひなんクラブ”にそんなVIPはいない。面白いけど偉くはない。
”我々が なぜ難民になったのか?” 驚愕の真実!
約一年後2002年8月の愛媛新聞である。
(読んでみたい方はクリック!いや是非読んでみてください!)
何ということか。 あの日あの時間帯アラスカ上空で、「そちらの機は大丈夫か?ハイジャックされてはいないか?」という地上からの問い合わせに、大韓航空の機長はなにを血迷ったのか、誤って「ハイジャックされた!」という緊急信号を返したのだ。
旅客機にはハイジャックされた時の為、犯人に知られないように通信できる機能があるらしい。
「すわ一大事」と米軍のF15戦闘機が追尾し、もしアンカレッジ上空に侵入する気配があれば「即撃墜」する体制にあったのである。
地上で待つカズちゃんの見た、我々の乗る飛行機にぴったりと張り付いていた戦闘機は「我々を撃ち落とす」為に追尾していた戦闘機だったのである。
大韓航空機の機長は一体何を考えていたんだろう?すぐに訂正できなかったのか?一度発信してしまったからには、訂正しても怪しまれ、結局用心のためカナダ行きになったのか?
未だにその本当の理由は闇の中とはあきれてしまう。
”ニーノ”の「大韓航空機の連中は英語よう喋らんな」という言葉はひょっとして・・・・・本当だったのかも。
我々は、機長のミスのせいでアンカレッジに降りられなかったのだ。
パスポート一つでカナダの田舎町下ろされ、銃の出迎えを受けたのだ。
居もしないハイジャック犯を捜査するために3日も足止めをくったのだ。
ほとんど寝ずにレンタカーで一日1000キロ走ったのだ。
仲間に「死ぬ!もう二度と旅行に来たくない!」と叫ぶ者が出たのだ。
本当にもう少しで撃墜されて死ぬところだったのだ。
狭い空港を無事離陸した機長に罵声ではなく称賛の拍手を送ったのだ
日本に帰って家族に喜び半分叱責半分で出迎えられたのだ。
だが年をへて振り返れば、こんな大変だった旅行が、楽しく懐かしい思い出となる。
仲間が集まるとこの話に花が咲く。
行けなかった恩師の前で、生徒が出来る自慢話の一つくらいあってもいいだろう。
もちろん「懲りない面々」は、翌年も恩師をダシに嬉々として旅行に出かけました。
(アラスカ編 完 see you again! )
わんこ
2011年10月09日 9:27 AM読ませていただく限りでは「すご~く恐ろしい経験をしてしまった」というよりも、ご自慢のネタが一つ増えたような楽しさが伝わって来ます。
【ホワイトホース】行って見たくなって思わずインターネットで見ました。
ホテルのバーで「ホワイトホース・オンザロック・プリーズ」とか言って素敵な夜が過ごせそうなところですねー。
ハッチョ
2011年10月11日 2:02 PM本当にいいところらしいです。
ニーノはあれ以来ホワイトホースが気に入って、
何度も言ったそうです。
ハッチョ
2011年10月11日 7:34 PM最終回のナンバーが(8)となってましたが(7)の間違いです。
間が飛んだわけではありません。何もありません。