《BY KEI》
大阪維新の会が国政選挙に意欲を見せている。橋下市長は国政には興味がないといいながら舌の根も乾かぬうちに、臨戦態勢を固める維新の会だが、その政策は妥当なのか?
大阪府知事次代には「大阪府と大阪市の二重行政を解消」する為にと任期半ばで投げ出した。まあ橋下氏自身が出馬したからこそ大阪市長の座を獲得したのは間違いないのだが、今度の国政に本人は「出馬しない」と言っているがどうなるかわからない。
「大阪都を実現する為に」と国会を目指すのではないか?
大阪府知事としても大阪市長としても、確かに歯切れ良く「行政の無駄と怠慢」に切り込んで見せ喝采を浴びている。庶民は大喜びである。
原発再稼動も拒否して見せたがすぐに撤回、今は消費税増税反対の旗印を上げている。
彼の政策の原理が実は良く判らない。
唯一国政らしい政策は「地方主権・道州制導入」くらいしかない。
消費税は増税反対といいながら、「消費税は地方税にする。その代わり国からの交付金は廃止する」といっているのを聞くと「消費税増税反対派」とは言いがたい。
外国人参政権付与はこの法律の目的を考えるなら純粋に賛成派である。
原発は「絶対認めない。民主党をつぶす」とまで気勢を上げながら「容認です」と白旗を揚げた。相変わらず国に対し「電力会社の利益を守るために行動している」と批判はしているが、結局、自民・民主となんら変わりはしない。
その上問題の多い「人権救済法案」にも賛成。
府知事・市長として行政の無駄・怠慢にメスを入れているが、彼のやっていることは「ルールを守れ」「守れないものは出て行け」という当然のことだけ。その簡単なことさえ出来ないこれまでの行政組織が、そして日本人が堕落しているのは事実だが、国の根本の政策とは無関係。
府知事・市長としての活動であれば「がんばれよ」と応援してもよいのだが、国政の場で「道州制導入・外国人参政権付与・人権救済法推進」といい、その上曖昧な原発対応のようにコロコロ意見を変えるようでは国政は任せられない。
私はこの頃彼に、小沢氏と似た「得体の知れない”恨み”に根ざす野望」のようなものを感じ始めている。
そして彼はタレントである。瞬間的にその時に何を取り上げれば大衆受けするか瞬時に判断できる能力がある。
だがその才能が国政に出れば必ず裏目に出る。第二の鳩山首相の誕生である。
今は人気があるのでマスコミも問題にしないが、彼の「豹変」ぶりは「思いつき発言の修正である。
彼は大阪市長でいい。維新の会は国政に出てはならないと思う。道州制について彼はもっと熟慮してみるべきである。
「地方主権」と言う言葉を良く使うが主権は国民にのみあるので、国の行政権の一部あるいは大部分を地方に移すというのであれば「地方分権」である。
地方分権・道州制の導入を主張するが、本当に国政を見据えた発言なのか?
彼は「維新」という言葉が好きなようだが、「明治維新」は西洋列強の力に対抗する為に地方分権である幕藩体制を「中央集権国家」を作りかえる、日本人が成し遂げた支配階級自らの手による奇跡のような革命でした。
明治から現在に至るまで、敗戦による痛手を乗り越え、日本の独立を守り世界に冠たる経済大国によみがえらせたのは中央集権体制です。
現在中央集権体制がうまく機能していないから地方分権というのはあまりに短絡的過ぎます。
霞ヶ関が機能しなくなったのは、戦後教育で「左翼人権主義」教育を受けた官僚が「天下国家のために働く」という理念と「個人の人権に重きを置く」という理念の間で迷っているからです。
どう考えてもこの日本で道州制・地方分権への移行は無駄と混乱を生むでしょう。
都市部と地方の格差は拡大するでしょう。
大規模災害にどう対処するんでしょう。
社会インフラの整備維持はどうするんでしょう。
国家として基本政策をどうするんでしょう。
日本を支える企業の国際競争力をどうやって高めるのでしょう。
維新の会は、橋下氏が率いても彼が離れても、遅かれ早かれ自壊するでしょう。
小沢氏が「壊し屋」と呼ばれるのと同じように橋下氏も「壊し屋」と呼ばれるでしょう。それが悪いとは思いませんが、活躍の場を賢明に選んで頂きたいと思います。
維新の会・橋下氏に国政は無理です。鳩山・菅で痛手を負った日本を壊すでしょう。